技術資料概要(TR-B31)
1.技術資料の概要
技術資料番号 | ARIB TR-B31 |
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技術資料名 | ファイルベースによる番組交換方式 |
策定年月日 | 2010年4月26日 |
技術資料概要 | 本技術資料は、デジタルテレビ放送において、制作、搬入、交換及び送出するすべての完成番組の音声信号に適用する。なお、番組とは、一般番組やCMなどを指す。 本技術資料は、放送局間または放送局とコンテンツを制作するプロダクションなどの組織間でのファイル形式による放送コンテンツの交換に適用する。 |
キーワード(用語と略語)
キーワード | 説明 |
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AAF | Advanced Authoring Formatの略。ノンリニア編集機などのコンテンツ制作アプリケーション間でのデータ共有用のファイルフォーマット。 |
BER | Basic-Encoding-Rules (ISO/IEC 8825-1にて規定)で表されるデータ表記方法。KLVにおけるLengthの表記法として用いられている。 Length値<128のとき、Length長は1バイトで、B8 = 0、B7~B1にLength値をセットする。(ショートフォーム) Length値≧128のとき、B8 = 1、B7~B1に、Length値を表現するために必要となるバイト数をセットし、続いてセットしたバイト長を使ったLength値をセットする。(ロングフォーム) |
BodySID | Essence Container の識別子。 Partition Packに含まれ、複数のEssence Containerが存在する場合、これを識別するために用いられる。 |
Clip(クリップ) | 1つ以上のショット、 またはシーンが単にひとまとまりになったもの。時間的に連続した映像音声の集合体。 |
Closed GOP | 通常long GOPのMPEGデータでは連続する二つのGOPのPフレーム、Iフレームデータから生成されるBフレームが発生する。しかし、編集時等に切り離す場合に都合が悪いので, Bフレームを一方のGOP内のデータのみから生成する方式をClosed GOPと呼ぶ。 |
Content Package(CP) | 映像音声などを多重し、フレームやクリップなど扱いやすい長さでまとめた単位。 |
Dark(ダーク) | アプリケーションが認識しない 独自のエッセンスやメタデータを示す場合に用いる。例えば、ダークデータとして伝送されたカメラのGPSポジション情報などは、アーカイブなどではアプリケーションにより適切に処理させるが、放送の際は、アプリケーションにより無視される。 |
Descriptor(記述子) | 記述子。例えば、画像のサイズ、音声のチャンネル数、フレームレート、符号化方式などの各種属性情報。 |
Dictionary(辞書) | 定義済みの意味を持った値のリスト。(例, SMPTE RP 210はメタデータ辞書) |
Descriptive Metadata(記述メタデータ、DM) | コンテンツの内容に関して記述するためのメタデータのこと。 |
DM Framework | Descriptive Metadata Frameworkの略。Descriptive Metadataで、ある相互関係を与えられたMetadata Setの集合体のこと。 |
DM Scheme | Descriptive Metadata Schemeの略。記述的メタデータの体系のこと。 |
DM Track | Descriptive Metadata Trackの略。記述メタデータと他のEssenceとの同期関係を記述するために使われるトラックのこと。 |
Duration | ある素材の時間長をEdit Unit単位の整数値で表現したもの。 |
DV-DIF | DVコーディングにより、連続した映像音声などを伝送する規格。 |
Edit Unit | 編集単位。Essence Containerに収められた編集可能な単位の整数値。 |
Element(エレメント) | 複数の音声チャネルを別々に扱うなど、アイテムをさらに細かく分けた単位。 |
Entity(エンティティ) | 単一のElement、Elementの集合(Set)、あるいはさらに高次の構成のことを指し示す抽象的な用語。 |
Essence(エッセンス) | MXFに内包する映像・音声・システムなどの実データのこと。 |
Essence Container(エッセンスコンテナ) | MXFのBodyに格納された、 映像、音声、システムデータなどのKLVコーディングされたデータの総称。 |
File Package | エッセンスコンテナ内の エッセンスについての情報を与えるための構造メタデータの論理的グループ。 |
Framework(フレームワーク) | MXFの記述メタデータの相互関係を与えられた集合体。 |
Generic Stream | ある定義されたフォーマットに従ったデータ・バイトのストリーム。 |
GOP | Group of Picturesの略。MPEGにおいて、1つ以上のIフレームと複数のP/Bフレームからなる集合体をGOPと呼ぶ。 |
IndexSID | Index Stream Identifierの略(エッセンスコンテナのインデックス)。Partition Packに含まれ、複数のIndex Tableが存在する場合、これを識別するために用いられる。 |
Index Table | タイムライン上の所定時刻をファイル中のバイトオフセット値に変換するためのルックアップテーブル。 |
Instance(インスタンス) | あるクラスに基づいて生成された実体。 |
Item(アイテム) | Content Package内で同種の要素を一括して扱うための単位。System Item, Picture Item, Sound Item, Data Item, Compound Itemがある。 |
KLV | Key-Length-Value構造で表現されるデータの符号化方式。SMPTE 336Mに規定される。Keyは識別タグ、Lengthはデータ長、Valueは実データが入る。 |
Local Tag | KLVのLocal setとして符号化される際に使われる2byteのタグ。 |
Lower-Level SourcePackage | マテリアルパッケージから直接参照されないソースパッケージ(File Package or Physical Package)。Top-Level File Packageの履歴情報(もしくは派生情報)として用いられる。 |
Material Package MXF | ファイルの出力タイムラインを表すことができるパッケージ。 |
MXF | Material eXchange Format(SMPTEで策定された放送用映像ファイルフォーマット) |
Pack | SMPTE 336Mで定義されるKLVエレメントのグループ。 |
Package(パッケージ) | 構造メタデータのSetの論理的グループ。 |
パッケージインフォメーション文書 | 配信パッケージとして伝送される個々のファイルについての情報と識別子を含むXML文書。 |
Partition(パーティション) | MXFファイルの論理的なセパレータ。 |
Physical Package | 例えば、 テープのように物理的な実体を表現するための記述子を含むことができるパッケージ。MXFファイルの履歴情報として使用される。 |
Picture | 映像のこと。本技術資料ではVideoと同義。 |
プログラムプレイリスト文書 | 複数のロールから構成される番組を再生するためのタイムラインについて記述したXML文書。 |
Property | Metadata Itemのこと。 |
Random Index Pack | MXFファイル中のパーティションを見つけるために用いられ、BodySIDと各パーティションの先頭までのバイトオフセットによって構成されるパック。 |
Scene(シーン) | 1つあるいは それ以上のショットから成る、ある1つの物語を構成する最小単位(一場面)のこと。 |
Sequence(シーケンス) | トラック上に割り付けられるコンポーネントを表すメタデータ構造。 |
Set | SMPTE336Mで定義されたKLVエレメントのグループ。 |
Sound | 音声のこと。本技術資料ではAudioと同義。 |
Structural Metadata(構造メタデータ) | MXFファイルの構造を表すメタデータ。 |
Top-Level Source Package(Top-Level File Package) | マテリアルパッケージから 直接参照されるファイルパッケージ。格納されたエッセンスについて記述できる唯一のファイルパッケージタイプ。 |
Track(トラック) | ある時間軸上において 開始点と継続時間を持つような1つの直線として考えることができる。 MXFではトラックは時間に関するPropertyを持つ1つのクラスとして表現されており、 異なるEssenceの間で同期をとるために用いられている。 |
UID | Unique Identifierの略。UL, UUID, UMIDなどのユニークIDの総称。 |
UL | Universal Labelの略。SMPTE 298Mに規定されるKLVコーディングのKey部の識別コード。16オクテットで表現され、SMPTEの場合は、06 0E 2B 34で始まる識別コードで表記される。 |
アセット | 配信パッケージを構成するファイルの実体の総称。 |
ロール | 番組をファイル化する際に、何らかの制約により映像、音声などを複数のファイルに分割する場合の分割された単位のこと。 |
配信パッケージ | 配信すべき番組を構成する各ファイルを伝送するためにファイルを組織化する概念で、パッキングリスト文書と複数のファイルから構成される。 |
番組交換メタデータ | 番組に関連するデータ及び、その番組を構成するファイル自体に関連するメタデータ。 |
2.改定の概要
版数 | 策定又は改定日 | 改定の概要 |
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2.1版 | 2018.07.26 | ファイルとして格納可能な字幕種別としてARIB-TTML字幕を含めること、及び4K番組における字幕補助データの格納方法についてSMPTE ST436の規定を準用すること等を明記するとともに関連する参照文書を追加するものである。 |
2.0版 | 2018.04.12 | 高度広帯域衛星デジタル放送に対応するために4K 番組素材ファイルで用いられる圧縮方式に関する記述、字幕に関する記述及び番組交換用メタデータの追加等を行うものである。 |
1.4版 | 2013.12.10 | 新たに付属として「放送用ファイル素材のセキュリティガイドライン」を追加するものである。本付属は、本技術資料本文で規定される放送用のファイル素材を、汎用のIT機器及びIPネットワーク等で取り扱う場合における、ITセキュリティのガイドラインを示すことを目的としている。また、本技術資料で参照しているARIB標準規格の廃止に伴い、当該規格を参照している部分の削除を行うものである。 |
1.3版 | 2013.03.19 | 日本民間放送連盟から改定要請のあった事項について対応するものである。日本民間放送連盟においては、本技術資料1.2版の第6章「番組交換メタデータ」について実際の運用検討を行ったところ、現行の規定では不都合が生じる部分があることが判明したため、スタジオ設備開発部会に対して所要の改定を要請した。スタジオ設備開発部会・放送素材ファイルフォーマット検討作業班での検討の結果、要請の内容は妥当であると判断したことから、該当部分の改定を行うこととするものである。 |
1.2版 | 2012.07.03 | 配信パッケージのインデックス情報を格納するパッケージインフォメーション文書のPath表記方法について、表現が曖昧で二通りの解釈が可能であることが判明したため、当該表現の修正を行い文章の明確化を行うものである。 |
1.1版 | 2011.03.28 | ・1.0版の誤記修正 ・1.0版で規定した番組交換メタデータの一部において修正すべき点が何点か見つかったため、その修正 ・番組交換メタデータ、パッケージインフォーメーション文書、プログラムプレイリスト文書のスキーマについて、バージョンを管理する仕組みを追加 |
1.0版 | 2010.04.26 | 策定 |