標準規格等一覧

標準規格概要(STD-B31)

1.標準規格の概要

標準規格番号 ARIB STD-B31
標準規格名 地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式
策定年月日 2001年5月31日
標準規格概要

本標準規格は、放送局の行う標準テレビジョン放送等のうち、地上デジタルテレビジョン放送に関する伝送方式を規定することを目的とし、UHF及びVHF帯の周波数を使用する地上デジタルテレビジョン放送に適用するものである。

本標準規格は、郵政大臣(現総務大臣)諮問第74号「デジタル放送方式に係る技術的条件(1994年6月27日付け郵通技第13号に基づく諮問)の審議を行った郵政省電気通信技術審議会(現総務省情報通信技術分科会)における、1999年5月24日付一部答申「デジタル放送方式に係る技術的条件」のうち「地上デジタルテレビジョン放送方式の技術的条件」を受け、1999年11月24日に施行された技術基準を定めるための「標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式(1999年郵政省令第102号)(注)」及び省令に関する「郵政省告示(1999年郵政省告示第864号)(注)」に規定された事項を骨格とし それらに加えて運用上で標準的に規定することが望ましいと合意された事項をあわせた内容となっている。

実運用において推奨される番組送出や送信設備に関する諸条件のガイドラインを付属文書として、また要素技術的な手法の具体例を参考資料としてまとめてある。


 キーワード(用語と略語)

キーワード 説明
ISDB-T Integrated Services Digital Broadcasting‐Terrestrial(サービス統合地上デジタル放送)
 地上デジタルテレビ放送ISDB-Tは、1チャンネルの伝送帯域を13個の帯域(OFDMセグメント)に分割して、セグメントごとに、伝送パラメータや伝送する情報を設定する方式である。このため、1 チャンネルでハイビジョン放送、あるいは複数の標準テレビやデータなどさまざまなサービスを組み合わせて放送することができる。また、一部のセグメントの伝送パラメータを妨害に強く設定することにより、家庭での受信に加えて、自動車での受信や携帯端末での受信に適したサービスを行うことも可能である。
  一方、地上デジタル音声放送には同じ構造のOFDMセグメントを1個あるいは3個を使用する。この場合、音声放送(Sound Broadcasting)の意味でISDB-TSBと称する。
OFDM Orthogonal Frequency Division Multiplex(直交周波数分割多重)
 OFDMはデジタル化された情報を伝送する方式の一つである。1キャリアを全情報で高速変調する従来の方法に対して、OFDMでは、数千のキャリアに情報を振り分けて送る。キャリア当りで見ると、1と0のデジタルデータの塊を伝送するための時間が数千倍になるので、マルチパス妨害に強い伝送特性が得られる。
 複数のキャリアが互いに干渉妨害とならない仕組み(直交多重)からこの呼称がある。
SFN Single Frequency Network(単一周波数ネットワーク)
 OFDMがマルチパス妨害に強いことを積極的に利用し、隣り合う複数の送信所で同じ周波数を使用するネットワーク技術である。サテライト局ごとに周波数を変換する従来のネットワークに比べて、より少ない周波数でサービスエリアをカバーできる。
IFFT(逆高速フーリエ変換)  時間信号を周波数成分に変換するFFTとは逆の演算である。
 OFDMでは、数千のキャリア周波数のデジタル変調データを、一括して、時間信号(送信信号)に変換する信号処理にあたる。
AC Auxiliary Channel(補助伝送路)<
 放送に関する付加情報(変調波の伝送制御に関する付加情報、または地震動警報情報)のための伝送路と規定され、地上デジタル放送においては、本線系の信号は、伝送路符号化部および復号部において、約0.1秒から約1 秒までの伝送遅延がある。一方AC伝送路は、伝送容量は数kbps~数100kbpsと少ないが伝送遅延が少ないことが特徴である。
Program Specific Information(PSI)  伝送制御信号の中でISO/IEC13818-1で規格化された部分をPSIという。
 PSIデータは4種類のテーブル(PAT,CAT,PMT,NIT)からなり、セクション形式で伝送される。
Transport Stream トランスポートストリーム
 ISO/IEC13818-1で定義されるデータ構造。
transport_stream_id トランスポートストリーム識別
 オリジナルネットワークのトランスポートストリームに固有の識別子。

2.改定の概要

版数 策定又は改定日 改定の概要
2.2版 2014.03.18  総務省告示の改正を受けて、準拠する告示の改定を行うものである。あわせて、誤記の修正及び表記の統一を行うものである。
 本標準規格2.2版については、英語翻訳版を作成して公開する。
2.1版 2012.12.18  放送法の改正に伴う省令及び告示の改正を受けて、準拠する省令・告示の修正及び追加を行うと共に、省令・告示の参照先の明確化を行う。
 あわせて、本標準規格に関連する他の標準規格との表記・用語の統一や付属 運用ガイドラインの修正、明確化を行う。
2.0版 2011.03.28  ITU-R勧告と整合を取るための、6MHz帯域幅システムの伝送パラメータ表の見直し並びに7、8MHz帯域幅システムの伝送パラメータ表及び情報レート表の付録追加
1.9版 2010.07.15  告示改正に伴う、地震動警報詳細情報に係る地域名称の変更及び極微小電力局に係る送信周波数許容偏差の規定追加
1.8版 2009.12.16  AC信号を用いた地震動警報情報の伝送方式に係る規定追加
1.7版 2007.09.26  地上デジタル放送の中継局に係る無線設備規則の改正に伴う、送信周波数の許容偏差及び送信スペクトラムマスクの規定改定
1.6版 2005.11.30  スプリアスに係る無線設備規則の改正に伴う改定
1.5版 2003.07.29  伝送パラメータ切り替え指標の対象となる伝送パラメータの明確化
1.4版 2003.06.05  AC伝送におけるACデータが含まれている放送TSとAC伝送キャリアのインタフェース(I/F)を規定し、機器のメーカー間の互換性を確保するための規定追加
・「ACデータ伝送の運用ガイドライン」を付属 第6章として追加  
・付属 第5章「STL/TTLへの信号伝送手法」5.5節「放送TS伝送時に必要となる付加情報」においてACデータの多重に係るISDB-T_informationのシンタックス及びmodulation_control_configuration_informationのシンタックスを改定  
1.3版 2003.02.06 ・付属 第3章「階層伝送の運用ガイドライン」の 3.2.1「階層伝送におけるPAT、NIT、CATの多重方法」の規定の例外的な運用規定追加。
・付属 第5章「STL/TTLへの信号伝送手法」5.5.3「IIP(ISDB-T Information Packet)の無効階層への多重」(4)「network_synchronization_informationの構造」の一部を見直し。
1.2版 2002.01.24  「付属地上デジタルテレビジョン放送の運用ガイドライン」の「第3章 階層伝送の運用ガイドライン」に3.4項として「映像符号化方式」を新たに追加。
1.1版 2001.11.15  「付属地上デジタルテレビジョン放送の運用ガイドライン」に第5章として「STL/TTLへの信号伝送手法」の規定追加。
1.0版 2001.05.31  策定

3.一部閲覧(最新版)

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